忙中閑アリ。 Recess time……サモンナイト3SS


はじめに。このメンバーがそろう時期ってのは、騒動の真っ最中のはずなのですが…

そこはタイトル通り「そんなときにも暇はある」ってことでお願いします。

 

 イスアドラの温海。海底から湧いてでる熱泉のため、ここはいつでも暖かい。
 海水と混ざり合ったほど良い「湯加減」を求めるのは、海に住む生物ばかりではないらしく……。

 その日、「温泉は怪我の療養にいいんだよ」と言い出したのはソノラだった。
「では、アズリアを連れていきましょう」とアティが即座に応じた。
 一見気が強く厳格そうなアズリアだが、内面は誰よりもココロ優しい。

 それを良く知るアティは、弟のことで心身共に傷ついた友人を心配し続けている。

「アズリアを連れて行くならさ、いっそ他の皆も誘おうよ。
 女同士、温泉でのんびり…っていうのはどう?」
 妙に嬉しそうにソノラが言い、アティもにこやかに賛成した。

「たまには先生も骨休めしようよ」
 ソノラの言葉にちょっと驚き、アティは「ありがとうございます」と呟いた。
(どーしていちいち礼なんか言うかな先生は。あたしに気なんか使わないでほしいって)
 水臭いよ…と、ソノラは少し不満だ。

 彼女はいつも誰かの心配をしている。今はアズリアのことでいっぱいだけど……。
 絶対アティだって傷ついているはず。
 誰が見たってそう思うのに、いつも微笑んで何も言ってくれないのがさびしい。

 笑顔で自分の傷をくるんでしまうアティのことを、そっと気にしているソノラだった。

 

 

「にゃはー♪ 天気もいいし、絶好の酒日和ねぇ」

「せめてピクニック日和と言ってくださいメイメイさん」

「温泉で熱燗。くぅ、贅沢ねっ」

「聞いてないわよ、この人」

 メイメイさん提供の水着に身を包んだ一同が、程良い温さの海水に浸かって雑談を楽しんでいる。

「そこ! あたしの選んだ水着を着用しないとは、イイ度胸ねぇ」

「アズリアのソレは、自前?」
 皆に問われ、ずっと無口だったアズリアがようやく答えを返した。

「海兵隊だからな。当然のたしなみだ」
 判るような、どこか変な理屈である。
 三分丈スパッツ仕様の、露出の少ない水着は、アティもかつて使った覚えがある。
 軍の女性用制式水着。腰のがっちりしたベルトが本格的(?)だ。

「無腰は落ち着かないから」と、水中でも使えるセラミックナイフなんかを装備している。
 りりしいというか何というか。鮫でも狩りに行きますか、アズリアさん。

「泳ぎ、得意そうだよね。 あたしと勝負しようよ!!」
 うきうき口調でいうソノラは、ライトブルーの競泳水着だ。

「たいちょーさんとぶーぶーさん、可愛い水着は着ないですか?」
 レモン色のワンピース水着(フリル付き)のマルルゥが聞いた。

「可愛い?」
 何となく皆の視線が、アティに集中する。
 ストロベリーピンクに白をあしらったセパレートの水着は、彼女によく似合っていた。

「あーいうのはさぁ、潜ったとき脱げそうで恐いんだよぉ」
 頬を膨らませてソノラが言う。かなり本格的に泳ぐつもりらしい。
「ソノラはちっちゃいころ、飛び込んだ勢いでぱんつが脱げちゃったことがあるからね」
「もー、スカーレルったら。そういうことは言わないで…」

 

  ……え?

 

「えええええ?!? スカーレルさん、どうしてここにいるんですかっ!!」

「最初からいたんだけど」
 女性陣の背後、岩場の陰になるところに腰をかけていたスカーレルが、笑った。

「あんまりふつーに混ざっているから、気がつかなかったですよぉ」

「今日はオンナノコばっかりだって言ったじゃない!!」

「あら。気にしないでよ。アタシ女物も着こなせちゃうし」
 そういう問題ではないだろう。

「……ちょっと待って。まさか今も…」

 白いビキニのアルディラが問う。
 スカーレルはパーカーのファスナーを引き下ろしながら答えた。

「見たい?」

 

「「「「「φφ! ιρ! ξΠΝΓΨΤ!!」」」」」

 

 一斉に上がった悲鳴が不協和音を織りなし、驚いた海鳥がばたばたと飛び立った。

「じょーだんよ、冗談」
 パーカーの下は、何の変哲もない男子競泳用水着だった。

「にゃーによぉ、期待させといて。普通じゃないぃ」
 赤地にラインストーン飾り付き水着を着用したメイメイがつっこむ。
 スカーレルはここぞとばかりに微笑んだ。

「変わったのが見たかったら、カイルやキュウマを誘うコトね」
 真顔に戻ってこう付け足す。

「女同士も良いんだけどさ、次は男連中も誘ってあげなさいよね。寂しそうだったわよ」
 …確かに、こうまであからさまに留守番では面白くないだろう。
 顔を見合わせ頷き合う女の子グループ。

「次はみんなで来ましょうね」とアティが答え、この話は終わったが。
(先生なら絶対そういうと思ったんだよなー)

 口に出せない分、ソノラの胸に不満がたまる。

 海賊一家のアイドル(?)のソノラ。
 今まで男の手下はたくさんいても、女の友達はあまり恵まれていなかった。
 この島に来て、やっと親友が出来たと密かに喜んでいたのだが…。

(スカーレルの馬鹿。あとでうーんといじめてやるぅ)
 八つ当たりとしか思えない決意を固めるソノラだった。

 

 おわり

 スカーレル、決意する I challenge you.……に、続く。


 い・い・わ・け

 

 アティソノラEDかもしれません(笑)

 同性エンディングは先生×生徒でしか見ていないんですが(^^;)

 やっぱ、カップルエンド収集に燃えますよね、あのゲームは。

 私が一番好きなのはキュウマ×アティですが……きっと自分ではかけないんだろうな(^^;)

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